論文:Transcatheter arterial embolization of abnormal vessels as a treatment for lateral epicondylitis refractory to conservative treatment: a pilot study with a 2-year follow-up

(発表年:2017年)

Journal of Shoulder and Elbow Surgery

本論文はテニス肘に対する運動器カテーテル治療の成績をまとめた内容であり、肩や肘の整形外科領域をカバーする医学雑誌であるThe Journal of Shoulder and Elbow Surgeryに掲載されました。

この研究では24名のテニス肘の患者様を対象にカテーテル治療を実施しています。対象者の多くは1年以上もの期間、治りづらい痛み(痛みを自覚してから6か月以上が経過しており、かつ3か月以上に渡り他の治療を実施しながらも改善がみられていない)に悩まされていました。24名の内22名はステロイド注射も実施していたものの効果が得られなかった方々です。

治療後半年時点において、痛みが改善した割合は88%と好成績であり、また重篤な合併症や副作用が生じた人は一人もいませんでした。更に握力の改善も見られ、運動器カテーテル治療後に徐々に正常な状態に回復していることも確認されています。

また同研究では、治療前と治療後2年経過時のMRI検査を実施しており、前後比較を行っています。MRIデータからは、2年という期間に渡ってもカテーテル治療による腱や軟骨、靭帯などの組織に副作用が生じていないことが確認されました。それだけではなく、運動器カテーテル治療は痛みや炎症、腫れの改善だけでなく、断裂の所見も軽減されていることが判明し、組織の修復が治療後に促されたことを示唆しています。