論文:Clinical Outcomes of Transcatheter Arterial Embolization for Adhesive Capsulitis Resistant to Conservative Treatment

(発表年:2017年)

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こちらは2012年から2013年にかけて運動器カテーテル治療を実施した五十肩の患者様の3年経過を記録し、その変化をまとめJournal of Vascular and Interventional Radiology誌に寄稿しました。

本研究では、重度の肩関節周囲炎(通称:五十肩)の患者様25名を対象に治療3年後までの経過観察を行い、その変化を記しています。(1名離脱し、最終計24名)

安全性の観点では、治療を受けた25名すべての患者様の中で重篤な、または中程度の副作用が見られた方は一人もおらず、治療中の軽度の痛み(薬剤注入時に痛みを自覚、カテーテル挿入部である手首に痛みを生じた)が見られた方が数名でした。全体としての安全性の高い治療であることが本論文において示されています。

有効性の観点については、夜間痛の減少で確認をしています。五十肩では夜間痛(痛みで起きる、寝返りが痛い等)を訴える患者様が多く、本研究に参加された25名の方も全員夜間痛に悩まされていました。カテーテル治療後1週間以内に67%の方が、1ヶ月後には87%の方が夜間痛の改善を自覚されていました。また、下記のグラフからもわかるように、3年の経過では痛みの強さは減少傾向で、再発は見られませんでした。

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本研究では、五十肩の特徴の一つでもある、可動域制限と呼ばれる腕が上がらなくなる症状の経過についても調査をしています。
結果として、治療後すぐに腕を上げることが出来るようになるわけではないものの、可動域は徐々に回復し、半年後には正常に近い状態に戻っていくことが分かりました。

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本研究での3年経過を踏まえて、安全性と有効性の高さから運動器カテーテル治療が五十肩治療として有用な選択肢であると知っていただき、少しでも痛みで苦しんでいる方々のお役に立てることを願っております。